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●胃の慢性疾患
全ての胃の症状とそれに関連した疾患。
全ての痛み、凝り、神経痛に関連。
胃経上の全ての症状。
①種類と鑑別
大きく分けると3種類
⑴胃弱(脾胃気虚)
食欲不振
上焦に気が昇清しない。気虚による上半身の症状。
⑵胃熱(脾胃湿熱)
食欲あり
熱発生。経絡を通じて全身に回る
⑶胃酸過多(肝脾不和)
食欲あり
熱及びガスの発生。経絡を通じて全身に回る。
・全てに共通する鑑別
1、食事直後から2~3時間以内、もしくは2~3時間経った時点で症状が出る。
2、寝てる時に症状が出やすい
3、T5.6、T12、中脘、足三里、内庭、2.3趾
⑴消化機能が低下して食滞が起こることで胃酸の逆流を誘発する。食欲不振。脾胃気虚。
⑵食べ過ぎて胃熱が発生し胃酸の逆流を誘発する。食欲旺盛。胃熱及び脾胃湿熱。
⑶胃気上逆、肝気上逆により胃酸の逆流を誘発。食欲あり。ストレス。肝胃不和。
・機能性ディスペプシア
メディカル的検査で異常がない胃の症状。
②治療
⑴胃気上逆、肝気上逆
1、患者仰臥位。右足を開排。一方手で血海にコンタクト、他方手で右季肋部にコンタクト(肝気上逆)。
2、右季肋部コンタクトをCW・CCWで血海が緩む方向を決める。
3、その方向に回しながらやや下に牽引し、同時に血海もやや下方へ牽引しながら、血海をマニプレーション。
4、右季肋部コンタクトを中脘に変え、同様の手順に処置を施す。
⑵前頭部–丹田(気逆解除)
1、患者仰臥位。術者左手手掌を前頭部、右手手掌を丹田にコンタクト。
2、丹田を骨盤ごとゆっくり揺らし、上から下に気が流れるイメージで丹田に下ろす。
⑶ガスリリース
消化管内で発生したガスが神経系、循環系、ハバース管(骨内の血管通路)を障害したり、各種反射性の障害を引き起こす。ガスは全身に拡散し、どの部位においても痛みや痺れなどの症状を引き起こす。
ガスリリースはアーユルベーダのヴァータの施術に属する。
①トリドーシャ
トリ(3つの)、ドーシャ(体質・エネルギー)。
⑴ピッタ→熱体質
⑵ヴァータ→冷え体質
⑶カファ→湿体質
②ヴァータ
5つの種類がある。
⑴プラーナ・ヴァータ(praaNa)
プラーナ・ヴァータは呼吸を指していて、通常は「吸気」のことを指す。プラーナの座は、頭部にあり、知力、心臓、感覚器官、心、唾液、クシャミ、欠伸、呼吸、食物の流れなどの活動を生み出す。プラーナは、睡眠不足や過度な活動で乱れ、その結果は、不安や心配、不眠症という症状になって表れる。
⑵アパーナ・ヴァータ(apaana)
アパーナ・ヴァータは「吐気」を指すが、アーユル・ヴェーダなどでは、「下降気」と呼ぶ。アパーナの座は肛門(腸)にあり、排泄、生殖機能、生理のリズムなどを生み出すと言う。アパーナが乱れると、下半身の冷え、便秘、生理不順などを引き起こす。
⑶ヴャーナ・ヴァータ(vyaana)
ヴャーナ・ヴァータは、巡回気と言う。ヴャーナの座は心臓であり、血液の流れ、心臓のリズム、発汗、触覚などを生み出す。
⑷ウダーナ・ヴァータ(udaana)
ウダーナ・ヴァータは、「上昇気」。ウダーナには「上に向かう息」などの意味がある。ウダーナの座は胸であり、発声、記憶、思考活動などを生み出す。
⑸サマーナ・ヴァータ(samaana)
サマーナ・ヴァータは、「等気」。サマーナには「同じ、同等の、等しい」などの意味がある。サマーナの座は、消化器官にあり、消化管を通じて血液の流れを生み出す。
ガスリリースは主にウダーナ、アパーナに作用しながら全身に及ぶ。
テクニック
1、坐位もしくは仰臥位で、回盲部周囲とS状結腸周囲の緊張部位をマニプレーション。
2、坐位もしくは仰臥位で、季肋部に沿ってマニプレーション。
3、坐位もしくは側臥位で肩甲骨内縁から裏側をマニプレーション。
肩甲骨内縁が緊張して裏側に指が入らない時は、まず母趾をマニプレーション。
さらに肩を内外旋、上下に動かして入りやすくする。
4、患者坐位か伏臥位で脊柱の直側の硬結部位をマニプレーション。
5、患者坐位か仰臥位で頚椎直側を下部から上部にかけてマニプレーション
免疫コントロール
免疫機構の一つに松果体ー下垂体ー甲状腺ー胸腺の連動がある。この機能失調を調整する。
①免疫ラインコントロール
⑴患者仰臥か位側臥位。術者の左手2指を兪府付近の緊張部位にコンタクト(甲状腺アプローチ)。右手3指で右季肋部の緊張部位にコンタクト(肝、膵臓アプローチ)。緊張部位が緩むように交互にマニプレーション。その後気を繋いで30秒から1分キープ。
⑵術者左手2指を右眉根部にコンタクトを変える(松果体アプローチ)。⑴と同様の操作を行う。
⑶術者左手2指を後頭骨下端の緊張部位にコンタクトを変える(下垂体アプローチ)。⑴と同様の操作を行う。
⑷⑴~⑶の操作をコンタクトの左右を変えて左に行う。
⑴患者仰臥位。術者右母指を臍へコンタクト。左手1、2指を患者右鎖骨窩内端に引っ掛けるようにコンタクト(甲状腺)。
⑵臍コンタクトを少し内部へ圧を加えて鎖骨側にやや牽引しながら、鎖骨窩を軽くマニプレーション。
⑶左手1、2指コンタクトを、患者右の第1肋間、第2肋間の胸骨縁に変え、マニプレーション。
⑷⑴~⑶の操作を左側にも行う。
③骨盤底
⑴患者側臥位。術者一方手の2~5指で骨盤底にコンタクト。他方手で頚部を把握。上下で気を繋いで流す。
⑵頚部コンタクトを頭頂部へ変えて同様に気をつなぎ回す。
⑶頭頂部コンタクトを後頭部もしくはラムダに変えて同様に気を繋いで回す。
アップデート
●小腸スラスト
①小腸に触診、筋力テストなどを施し、問題のある部位を特定する。
②術者母指を臍の中にコンタクトしやや圧を加える。
③1~4指を患部にコンタクトし、母指を支点にして扇型を形成し、この間で無限大テクニック。
④母指を支点にして1~4指を半径に沿ってマニプレーション。
●ケルバン
①長母指伸筋腱の転位を可動性や筋力テストで調べる
②術者一方手で転位を元に戻す。そのままのキープして他方手の母指を患者の橈骨頭に当て肘を屈曲。
③前腕を腱の左右の転位を元に戻す方向に回旋させる。
腱を健側にティシュープルして曲池を押さえて回旋。
●バリアブルの取り方
①患者仰臥位。
C-7の回転を元に戻す方向に頭を回転(右回転の場合頭を左)。
②この状態をキープして、一方手の手指でT-1の棘突起にコンタクト。他方手でT-1の横突起にコンタクト。
③T-1を元に戻す方向にやや圧を加えてキープ。